ローカルから見つめる、もう一つの地球のかたち

Author

Yasunori Ichihashi

Team Director

レイモンド夫妻の農場に訪問

レイモンド夫妻の羊の赤ちゃん

「ローカリゼーションデイ日本2025」というイベントに参加しました。招いてくださったのは、2年半前から交流を続けている大地再生農業を実践する農家のレイモンド夫妻。当日は、株式会社ハートランドの瀬尾さんたちと共に、レイモンド夫妻が主催するセッションに参加させていただきました。

ローカリゼーションデイ日本2025のサイト

セッションのテーマは「大地再生農業の今」。日本で実践される大地再生農業の取り組みの紹介とともに、現場の知見を持つ農家の皆さんと理論やデータを扱う私たち研究者がどのように手を取り合えるか、実践と学問の境界線を超えた対話が交わされました。

今回のイベントに参加することで、とりわけ印象的だったのは、「ローカリゼーション(地域化)」というキーワードに込められた深い思想です。グローバリゼーションによって私たちは多くの恩恵を受けてきました。一方で、それによって加速された気候変動、生物多様性の喪失、経済的格差といった地球規模の問題にも直面しています。

まさに今、私たち理化学研究所でも、地球をグローバルコモンズ(共有財産)として捉え、社会課題解決に資する研究プロジェクトが数多く立ち上がっています。そのなかで、今回のイベントは、私自身がチームディレクターとして研究室の方向性を考える上で、大きな教訓となる時間でした。

“ローカル“を見直すことは、単なる「スケールダウン」ではありません。地域の文脈に根ざし、人と自然の関係を見つめ直しながら、そこに普遍的な価値を見出していく。グローバルとローカル、対極のようでいて、実はどちらも未来をつくる重要な視座だと感じました。

また、イベントサイトで紹介されていた2つの動画も、私にとって大きな気づきの源となりました:
イベントサイトで紹介されていた動画①
イベントサイトで紹介されていた動画②

「何をしたら人類社会に貢献できるのか?」

その問いに、あらためて真正面から向き合う時間となりました。これからも、科学と社会の接点を大切にしながら、足元から地球全体へとつながる視野で、研究を進めていきたいと思います。

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