緑の革命が、動きはじめた日

Author

Yasunori Ichihashi

Team Director

2025年7月10日、株式会社BG(Black to Green)のローンチイベントに参加させていただきました。

BG公式ウェブサイト
リリース記事

私自身は、「良い土」と「劣化した土」の違いを直感的に理解してもらうための実験デモンストレーションを担当しました。水の中での安定さ、水のしみ込み方の違いなど、普段なかなか意識することのない「土の状態」を体験してもらう場として、多くの方に関心を持っていただきました。

この日、会場で改めて感じたのは、BGメンバーの真剣さでした。2年前に知り合ってから、何度も議論を重ねてきた方々ではありましたが、今回のローンチにかける彼らの覚悟は、これまでとはまったく違うレベルの熱量を帯びていました。自分たちのキャリアや生活そのものをこの挑戦に賭けている。うまくいかなければ、積み上げてきたものすべてが失われるかもしれない。そのようなリスクと隣り合わせで、それでも前に進もうとする姿に、強く心を動かされました。そして、これは中心メンバーだけではなく、多くの若いメンバーが同じような思いで集まっているという事実にも、圧倒されました。この先、確かに何かが動き出す。そう感じたのは、私だけではなかったはずです。

会場の様子

会場の様子

代表取締役の冨松さん

私自身、研究者として2018年から「21世紀の緑の革命に貢献する」ことを掲げて活動してきました。農業生態系という、生産現場を対象にしたサイエンスに取り組みながら、近年はとくに「生産と消費のあいだにある距離」に注目してきました。農家が作物を育てる現場と、私たちが日常的に食べている食卓とのあいだにある物理的・時間的・意識的な隔たりをどう埋めるか。それを自分たちが開発してきたデジタルツイン技術で作物生産現場を可視化し、社会に実装することを目指しています。

そうした問題意識は、BGが別のアプローチから取り組んでいるテーマと多くの部分で重なっています。消費者が食べものの背景にある土や自然環境に目を向けることで、意識が変わる。そしてその変化が、新しいフードシステムの構築につながっていく。まさに今、BGはその仕組みづくりに正面から挑んでいます。

イベント会場や公式サイトを見て感じるのは、表現やデザインの洗練度です。第一印象として「センスがいい」と思われるかもしれませんが、私が知っている彼らの姿は、見た目の良さ以上に、そこに至るまでに何度も丁寧に議論を重ね、納得するまで考え抜く姿勢です。メッセージの裏側には、細部まで行き届いた思考と実行力があり、それが活動全体の信頼感と魅力につながっているのだと感じています。

代表取締役の武部さん

私たちはすでに、BGとともに、土壌—微生物—植物の関係性に関する共同研究を進めています。微生物の多様性を引き出すことで、作物の収量や品質の向上、農薬や化学肥料への依存低減、環境と調和した農業の実現を目指す取り組みです。これらの研究が実を結べば、日本の農業の未来だけでなく、世界の持続可能な農業への貢献にもつながると信じています。

これからもBGの皆さん、篤農家の方々、研究チームと連携しながら、誰もが実践できる持続可能な農業のかたちを探っていきたいと思います。科学と現場が手を携え、一歩ずつ進んでいくこの取り組みが、農業に関わるすべての人にとって新しい希望になればと願っています。

実験デモンストレーション

実験デモンストレーション

試食会の様子

BGメンバーとの記念写真

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