異なる専門性が研究にもたらすもの

Author

Yasunori Ichihashi

Team Director
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現在、私たちのチームには、ベトナム出身で、長岡技術科学大学の修士課程に在籍するインターンのHoanさんが、2週間の予定で滞在しています。まだ滞在の途中ではありますが、すでにチームに与えてくれている刺激はとても大きく、研究室の空気が少しずつ、しかし確かに活性化しているのを感じています。

Hoanさんはデータサイエンスを専門としており、現在は土壌マイクロバイオームデータに対して、RAG(Retrieval-Augmented Generation)を活用する試みに取り組んでもらっています。膨大で複雑なマイクロバイオームデータと、これまで蓄積されてきた知識や文脈情報をどのように結びつけ、研究にとって意味のある「問い」や「仮説」へとつなげていくのか。その挑戦自体が、私たちにとっても新鮮な学びの連続です。

議論の中でHoanさんが示してくれる視点は、私たちが日常的に扱っているデータを、少し離れた場所から見つめ直すきっかけを与えてくれます。普段は当たり前のように受け入れている前提条件や解析の流れについて、「それはなぜそうなっているのか」と自然に意識させてくれる。その一つひとつが、チームメンバーの思考を静かに揺さぶっているように感じます。

私自身、これまで研究を続ける中で、分野や国境を越えた交わりが、新しい研究の芽を育ててきたと実感してきました。土壌・植物・微生物という複雑な共生系を理解しようとするとき、単一の専門性だけではどうしても限界があります。だからこそ、Hoanさんのように異なる背景とスキルをもつ若い研究者が、同じ空間で試行錯誤してくれているこの時間は、とても貴重なものに思えます。

研究の合間には、ベトナムでの生活や日常の話を聞くこともあります。文化や研究環境の違いについて語り合う中で、自分たちが置かれている研究環境や価値観を、少し引いた視点で見つめ直す機会が生まれています。研究はデータや技術だけで進むものではなく、人と人との対話の積み重ねによって形づくられていくのだと、改めて感じさせられます。

Hoanさんの滞在はまだ続いていますが、すでにこの交流を一過性のものにしたくない、という思いがチームの中に芽生えています。今回の経験をきっかけに、今後もこのような国や分野を越えた交流を継続し、研究をともに育てていける場をつくっていければと考えています。

残りの滞在期間の中で、どのような対話や発見が生まれるのか。Hoanさんと過ごすこの「いま」の時間そのものを大切にしながら、研究が少しずつ前に進んでいく過程を、楽しんでいきたいと思います。

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