福島の農と土に触れる、1泊2日のフィールドワーク
7月11日から1泊2日の日程で、福島県いわき市と鮫川村を訪れました。ダイズの播種や電気柵の設置、キュウリの収穫、草刈りなどを体験し、農作物を育てることだけでなく、畑とその周辺の環境を守り、整えていくことの大切さを学んだ2日間となりました。
【ダイズの実証圃場へ】
1日目は、いわき市にあるダイズの実証圃場を訪れました。
この圃場では、「晩播狭畦密植」という栽培方法の実証が行われています。「晩播」は通常より遅い時期に種をまくこと、「狭畦密植」は畦の間隔を狭くして、ダイズを密に植える方法です。播種日は7月11日。慣行より遅い時期の播種となるため、限られた生育期間の中でダイズがどのように育ち、収量につながるのかを確かめます。
狭い間隔で正確に種をまくため、現場では播種機の位置や間隔を慎重に調整していました。機械の後ろに並んだ播種ユニットを確認しながら、実際の圃場に合うように設定していきます。作業を見守っていると、播種前の準備にも多くの知識と細かな工夫が必要であることが分かりました。
【1ヘクタールの圃場を囲む電気柵】
播種作業と並行して、私たちは圃場の周囲に電気柵を設置しました。この地域にはイノシシやタヌキが現れることがあり、昨年はタヌキによって畑が荒らされてしまいました。そのため、農作物を食害から守るための対策が欠かせません。
電気柵で囲む範囲は、およそ1ヘクタール。支柱を立て、電線を張り、電源装置へつないでいきます。圃場の周囲には急な斜面もあり、資材を持って上り下りするだけでもひと苦労でした。暑さの中、メンバー同士で声を掛け合い、作業を分担しながら少しずつ柵を延ばしていきました。
朝8時から始めた作業は、夕方5時ごろにようやく完了しました。圃場をぐるりと囲む電気柵を眺めたときには、大きな達成感がありました。今回まいたダイズがどのように育っていくのか、秋の収穫が今から楽しみです。
【鮫川村でキュウリの収穫を体験】
2日目は、鮫川村で農業を営む生産者さんを訪ね、キュウリの収穫と梱包を体験させていただきました。
葉の間から収穫に適したキュウリを探し、傷つけないように一本ずつ収穫しました。
収穫したキュウリは、形や状態を確かめながら袋に詰めます。まっすぐ伸びた立派なキュウリを自分の手で収穫し、出荷できる姿に整えるところまで体験できたことは、とても新鮮でした。
【畑の周囲を整える草刈り作業】
続いて、草刈機を使った草刈りにも挑戦しました。初めて草刈機を持つメンバーは、少し緊張しながら慎重に機械を動かしていました。
農業というと、作物を植えたり収穫したりする場面に目が向きがちです。しかし、畑の周囲の草を刈り、作業しやすい環境を維持することも大切な仕事です。実際に体験することで、農作物を育てるためには、畑だけでなく周辺環境にも継続して手を入れる必要があることを実感しました。
体験の後には、生産者の方からキュウリやトマトをいただきました。採れたての野菜はとてもおいしく、作業の疲れも吹き飛ぶようでした。貴重な体験と温かいおもてなしを、本当にありがとうございました。
【チームディレクターの「第2の拠点」】
農業体験の後は、鮫川村にあるチームディレクターの“第2の拠点”を訪ねました。そこは、丁寧に手入れされた古民家です。最も近い家までは500メートル以上離れているとのことで、周囲は驚くほど静かでした。耳を澄ますと、鳥のさえずりや虫の声がよく聞こえてきます。
畳敷きの広い座敷からは庭や池を眺めることができ、時間がゆっくりと流れているような、心の落ち着く空間でした。
庭にはブルーベリーや木イチゴが実り、畑ではリンゴ、ダイズ、ソルガム、サンショウ、ナガイモなど、さまざまな作物が育てられていました。現在、複数の植物や生き物の関係を生かす「協生農法」を実践しているそうです。
さらに、古民家の庭では、高田宏臣さんの著書『イラスト&写真でやさしく解説 よくわかる土中環境』を参考に、地面に穴や溝を掘る取り組みが行われていました。同書では、土中環境を改善する身近な行動の一つとして「庭に穴や溝を掘る」方法が紹介されています。
以前は水はけが悪く、ぬかるんでいた場所も、現在は水がたまりにくくなっているとのこと。実際にその場に立ってみると、庭には心地よく風が通り、土の状態が変化している様子を感じることができました。
【農業を支える、たくさんの仕事】
今回の2日間では、ダイズの播種準備や鳥獣害対策、野菜の収穫と梱包、草刈り、そして土中環境への働きかけまで、農と環境に関わるさまざまな活動に触れました。
作物を育てることは、種をまいて収穫するだけではありません。圃場を守り、周囲を整備し、水や空気の流れにも目を向けながら、土地と継続的に付き合っていく営みなのだと思います。
現場で作業し、土に触れ、そこで農業に携わる方々のお話を聞いたからこそ得られた、多くの気づきがありました。お世話になった皆さま、ありがとうございました。